免税事業者からの仕入れに係る仕入税額控除の経過措置は、一度きりの制度ではなく、80%から複数の段階を経て徐々に縮小していく設計になっています。この記事では、この段階的な縮小の時間軸を整理します。
5段階で縮小していく控除割合
この経過措置は、制度開始の2023年(令和5年)10月から2031年(令和13年)9月まで、約8年間かけて5段階に分けて控除割合が縮小していきます。
| 段階 | 期間 | 仕入税額控除できる割合 |
|---|---|---|
| 第1段階 | 2023年(令和5年)10月〜2026年(令和8年)9月 | 80% |
| 第2段階 | 2026年(令和8年)10月〜2028年(令和10年)9月 | 70% |
| 第3段階 | 2028年(令和10年)10月〜2030年(令和12年)9月 | 50% |
| 第4段階 | 2030年(令和12年)10月〜2031年(令和13年)9月 | 30% |
| 第5段階 | 2031年(令和13年)10月以降 | 控除なし(0%) |
段階の変わり目に起きること
制度開始から3年間は控除割合80%が続きますが、2026年(令和8年)10月からは70%に下がり、以降は2年ごとに20ポイントずつ、最後は30%から0%へと下がっていきます。段階が変わるたびに、免税事業者と取引する課税事業者側が仕入税額控除できる割合が縮小し、控除できない割合(非控除割合)は逆に増えていきます。この非控除割合は、免税事業者が取引先から値引きなどを求められる圧力の理論上の目安になると考えられています。
段階的な設計になっている理由
この経過措置が一度に廃止されるのではなく段階的に縮小する設計になっているのは、免税事業者と取引する課税事業者側の急激な負担増を避け、双方が準備期間を確保できるようにする目的によるものとされています。ただし、段階が進むごとに控除できない割合は着実に増えていくため、免税事業者のままでいる場合の取引条件への影響は、時期が進むにつれて大きくなっていく可能性がある点は押さえておく必要があります。
自分の取引にどう影響するか
実際にどの程度の値引きを求められるかは、取引先の方針や業界の慣行など個別の事情によって異なります。本ツールでは、この5段階の控除割合をもとに、試算対象日ごとの理論上の値引き圧力の目安と、インボイス発行事業者として登録した場合の負担率を比較できます。
インボイス制度 実質損益分岐点逆算機で、試算対象日を変えながら経過措置の各段階での目安を確認してみてください。本サービスは特定の税理士・会計事務所・会計ソフトへの登録や、インボイス発行事業者としての登録・納税方式の選択を推奨するものではありません。表示している試算結果は、国税庁が公表する制度情報(2割特例・3割特例・簡易課税制度・免税事業者からの仕入れに係る経過措置)に基づく一般的な目安であり、実際の税額・届出期限・有利な選択は事業者ごとの個別事情(業種・取引先構成・決算期等)により異なります。実際の税務判断・届出手続きは、必ず税理士等の専門家にご確認ください。(本ツールが参照した制度情報の確認時点: 2026-09-13)