インボイス発行事業者(適格請求書発行事業者)の登録は、一定の手続きを経て取りやめることができます。この記事では、登録取りやめの手続きの一般的な流れと、取りやめを検討する際に確認しておきたい注意点を整理します。取りやめるべきかどうかの判断は事業者ごとの個別事情によって異なるため、本記事は手続きの一般的な解説にとどまります。
登録取りやめの手続きの流れ
登録を取りやめる場合は、国税庁が案内する手続きに従って、登録の取消しを求める旨の届出を税務署に提出する必要があります。届出の具体的な様式や提出期限、取消しの効力が生じるタイミングの詳細は、国税庁ホームページで最新の案内を確認することが望ましいとされています。届出を提出してから実際に登録が取り消されるまでには一定の期間を要することが一般的とされているため、取りやめを検討する場合は早めに国税庁の案内を確認し、余裕をもって手続きを進めることが望ましいと考えられます。
取りやめを検討する前に確認したいこと
登録を取りやめると、それ以降は適格請求書(インボイス)を発行できなくなり、取引先が仕入税額控除を受けられなくなる可能性があります。取引先が課税事業者かどうか、取引先が仕入税額控除をどの程度重視しているかによって、取りやめが取引関係に与える影響は異なります。また、基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円を超えている場合は、インボイス発行事業者としての登録を取りやめても、消費税の課税事業者になる義務自体はなくならない点にも注意が必要です。この場合、登録を取りやめても消費税の申告・納付義務は継続します。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 基準期間の課税売上高 | 1,000万円超なら取りやめても課税事業者義務は継続 |
| 取引先の属性 | 課税事業者中心か消費者・免税事業者中心か |
| 取消しの効力発生時期 | 国税庁の案内する手続きに従って確認 |
免税事業者に戻れるかどうかの判断
基準期間の課税売上高が1,000万円以下であれば、登録を取りやめることで免税事業者に戻れる可能性がありますが、免税事業者に戻った場合は、取引先(課税事業者)が仕入税額控除を受けられる割合が経過措置により段階的に縮小していく点も踏まえておく必要があります。経過措置による控除可能割合は2023年10月から2026年9月までが80%、2026年10月から2028年9月までが70%、2028年10月から2030年9月までが50%、2030年10月から2031年9月までが30%、2031年10月以降は控除なしという5段階で縮小します。取りやめの時期によって、取引先が受ける影響の程度も変わってくると考えられます。
出典: 国税庁 インボイス制度サイト取りやめの前に負担と影響を比較する
登録を継続した場合の消費税負担と、取りやめて免税事業者に戻った場合に取引先から求められる可能性のある値引き要求の程度を比較しておくことは、判断材料の一つになります。インボイス制度 実質損益分岐点逆算機では、事業形態や取引先の属性、想定される値引き要求率を入力して、登録を継続した場合と免税に戻った場合の目安を比較できます。どちらを選ぶべきかを断定するものではなく、あくまで判断材料としてご利用ください。
手続きに迷ったときは専門家へ
登録取りやめの届出の具体的な様式・提出期限・取消しの効力発生時期は個別の状況によって扱いが異なる場合があるため、実際の手続きを進める際は国税庁ホームページの最新案内を確認するとともに、税理士等の専門家に相談することが望ましいとされています。
本サービスは特定の税理士・会計事務所・会計ソフトへの登録や、インボイス発行事業者としての登録・納税方式の選択を推奨するものではありません。表示している試算結果は、国税庁が公表する制度情報(2割特例・3割特例・簡易課税制度・免税事業者からの仕入れに係る経過措置)に基づく一般的な目安であり、実際の税額・届出期限・有利な選択は事業者ごとの個別事情(業種・取引先構成・決算期等)により異なります。実際の税務判断・届出手続きは、必ず税理士等の専門家にご確認ください。(本ツールが参照した制度情報の確認時点: 2026-09-13)