インボイス制度については、さまざまな誤解が見られます。この記事では、よくある誤解の例を挙げながら、国税庁の公表情報に基づく正しい理解を整理します。
誤解1: インボイスに登録しなければ消費税を払わずに済む
「インボイスに登録しなければ消費税を払わずに済む」という理解は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下の場合には概ね当てはまりますが、常に正しいわけではありません。基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円を超える場合、インボイス発行事業者としての登録の有無に関わらず、消費税の課税事業者になる義務が生じます。登録の有無と、課税事業者になる義務の有無は、別の基準で決まる点に注意が必要です。
誤解2: 簡易課税ならどの業種でも一律の負担率になる
簡易課税制度を使えば一律で有利になると考えられがちですが、簡易課税のみなし仕入率は事業区分(第1種〜第6種)によって90%〜40%まで異なります。他の方の事業区分をそのまま当てはめると結果が変わります。自分の事業がどの区分に該当するかを確認しないまま、他の事業者の体験談をそのまま当てはめると、想定と異なる負担率になる可能性があります。
誤解3: 2割特例はずっと使い続けられる
2割特例は負担の小さい計算方法として知られていますが、期限のある経過措置です。2割特例は個人事業者は2026年(令和8年)分まで、法人は2026年(令和8年)9月30日を含む課税期間までが対象とされています。その後は、個人事業者に限り2027年(令和9年)分・2028年(令和10年)分は3割特例が使えるとされていますが、法人には適用されません。期限を踏まえずに恒久的な制度と捉えると、期限後の負担を見誤る可能性があります。
誤解4: 免税事業者からの仕入れは今後も一定の割合で控除できる
免税事業者からの仕入れに係る仕入税額控除の経過措置は、2023年10月〜2026年9月は80%、2026年10月〜2028年9月は70%というように、段階的に縮小していく仕組みです。この割合が今後も一定のまま続くという理解は誤りで、期限が来るたびに控除できる割合が下がっていく点に注意が必要です。
誤解を避けるための考え方
これらの誤解に共通するのは、制度の一部分だけを切り取って一般化してしまう点です。一般的には、自身の基準期間の課税売上高、取引先の構成、事業区分といった個別の条件をひとつずつ確認することが、誤解を避ける近道とされています。インボイス制度 実質損益分岐点逆算機で自身の条件を入力し、実際の判断は税理士等の専門家に確認することが望まれます。
出典: 国税庁 特集インボイス制度、国税庁 令和8年度税制改正特集本サービスは特定の税理士・会計事務所・会計ソフトへの登録や、インボイス発行事業者としての登録・納税方式の選択を推奨するものではありません。表示している試算結果は、国税庁が公表する制度情報(2割特例・3割特例・簡易課税制度・免税事業者からの仕入れに係る経過措置)に基づく一般的な目安であり、実際の税額・届出期限・有利な選択は事業者ごとの個別事情(業種・取引先構成・決算期等)により異なります。実際の税務判断・届出手続きは、必ず税理士等の専門家にご確認ください。(本ツールが参照した制度情報の確認時点: 2026-09-13)