消費税には「免税事業者」と「課税事業者」という区分があり、インボイス制度はこの区分と密接に関わっています。この記事では、両者の違いと、インボイス制度によって何が変わったのかを整理します。
免税事業者と課税事業者の基本的な違い
課税事業者は消費税の申告・納税義務がある事業者で、免税事業者は消費税の納税が免除されている事業者です。この区分は原則として基準期間(2年前)の課税売上高によって決まります。基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円を超える場合、インボイス発行事業者としての登録の有無に関わらず、消費税の課税事業者になる義務が生じます。逆に基準期間の課税売上高が1,000万円以下であれば、原則として免税事業者のままでいることができます。
インボイス制度で加わった新しい選択
インボイス制度が始まる前は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下の事業者は、特別な事情がない限り免税事業者のままでいるのが一般的でした。インボイス制度開始後は、適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)として登録するために、あえて課税事業者を選ぶという新しい選択肢が生まれています。登録するかどうかと、課税事業者になるかどうかは、免税事業者にとっては実質的に同じ判断になります。
免税のままでいた場合に起きること
免税事業者のままでいる場合、消費税の納税は発生しませんが、取引先(課税事業者)が免税事業者からの仕入れについて仕入税額控除できる割合は、経過措置により段階的に縮小していきます。控除できる割合が下がるほど、取引先から値引きなどを相談される可能性が理論上高まるとされており、これが免税事業者にとっての実質的な負担になり得ます。
課税事業者になった場合に使える負担軽減の仕組み
免税事業者からインボイス発行事業者になったことで課税事業者になった場合は、2割特例や簡易課税制度など、納税額の計算方法を選べる場合があります。2割特例は、個人事業者は2026年(令和8年)分まで、法人は2026年(令和8年)9月30日を含む課税期間までを対象に、納税額を売上に係る消費税額の2割に抑えられる経過措置です。ただし期限があるため、期限後の負担も含めて考える視点が必要です。
どちらを選ぶかは個別の事情によって変わる
免税事業者のままでいるか、課税事業者になってインボイスを発行するかは、取引先が事業者か消費者か、値引きをどの程度求められそうかなど、事業ごとの事情によって有利不利が変わります。一般的な目安として、インボイス制度 実質損益分岐点逆算機を使うと、想定される値引き要求率と課税事業者になった場合の負担率を比較できます。実際の判断は税理士等の専門家に相談の上で行うことが望まれます。
出典: 国税庁 インボイス制度サイト、国税庁 2割特例特設ページ本サービスは特定の税理士・会計事務所・会計ソフトへの登録や、インボイス発行事業者としての登録・納税方式の選択を推奨するものではありません。表示している試算結果は、国税庁が公表する制度情報(2割特例・3割特例・簡易課税制度・免税事業者からの仕入れに係る経過措置)に基づく一般的な目安であり、実際の税額・届出期限・有利な選択は事業者ごとの個別事情(業種・取引先構成・決算期等)により異なります。実際の税務判断・届出手続きは、必ず税理士等の専門家にご確認ください。(本ツールが参照した制度情報の確認時点: 2026-09-13)